外国人採用に必要な在留資格とは?ビザの種類と手続きガイド
外国人を雇用する際に確認すべき「在留資格」とは
在留資格の基礎と企業の役割
在留資格とは、外国人が日本で許可された活動範囲を示す法的な資格です。外国人を雇用する企業には、採用前から在留資格の適合性確認、採用後も継続的に管理する責任があります。
主な就労可能な在留資格の種類
外国人が日本で働くには、それぞれの業務に適した就労可能な在留資格の取得が必要です。以下に代表的な資格を整理しました。
主な在留資格の一覧(詳細)
在留資格名 | 内容・目的 | 対象職種の例 |
---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 学歴や専門知識を活かした業務に従事するための在留資格 | ITエンジニア、通訳、営業、経理、人事、企画など |
技能 | 熟練した技能を要する業務に従事するための在留資格 | 日本料理調理師、宝石加工職人、航空機整備士、スポーツ指導者 |
技能実習 | 技術や知識を習得する制度。日本の企業で働きながら実務経験を積む | 製造、農業、建設、介護など |
特定技能 | 人手不足分野(16業種)での就労を目的とした在留資格 | 介護、建設、外食、宿泊、農業など |
高度専門職(1号) | ポイント制で高度な専門性を持つ人材に付与される在留資格 | 研究者、大学教員、経営管理職、ITプロジェクトマネージャーなど |
高度専門職(2号) | 1号在留者が3年以上在留し、一定条件を満たした場合に取得。より長期かつ柔軟な活動が可能 | 1号で認められる職種に加え、活動の幅が広がる |
ポイント:同じ企業内でも、配属業務に応じて在留資格は異なるため、採用前の資格確認は必須です。
その他の代表的な在留資格
- 企業内転勤:海外の関連会社から転勤
- 教育:学校や語学スクールでの講師
- 研究:企業や公的機関での調査・研究活動
- 法律・会計業務:外国法事務弁護士、公認会計士
- 医療:医師、看護師、歯科医師など
- その他:「興行(芸能)」「宗教(宣教師)」「報道(外国メディア記者)」など特定の就労活動に対応する在留資格もあります。対象が限定されているため、個別の内容確認が重要です。
採用前に確認すべき:職務内容と在留資格の整合性
整合性が求められる理由
在留資格と実際の業務内容に齟齬があると、不許可措置だけでなく企業の法的責任に発展するリスクも伴います。
資格選定の3つのポイント
- 業務内容を具体的に把握する
- 候補者の学歴・職歴・専門性と照合する
- 申請書に職務内容を正確に記載する
在留資格申請の流れと必要書類
採用決定後に必要な手続き
- 海外在住の外国人の場合
企業が「在留資格認定証明書(COE)」を申請 → 本人が在外公館でビザ取得 → 来日 → 在留カード取得後に就労開始 - 日本在住の外国人の場合
在留カード確認(有効期限・資格内容・就労制限)
留学生等から切替時には「在留資格変更申請」
就労内容が資格に合致するか不明な場合は「就労資格証明書」の取得を推奨(任意)
在留カードのコピー保管も推奨されます。
📌 外国人採用・在留資格に関する手続きフロー
外国人を雇用する企業は、採用前から就労開始後まで、在留資格に関する一連の手続きを適切に管理する必要があります。以下に、基本的な手続きの流れをまとめました。
🔷 採用前
業務内容の確認 ↓ 必要な在留資格の確認 ↓ 候補者の学歴・職歴と照合 ↓ 在留カードの確認(日本在住者のみ)
🔷 採用決定後(在留資格の状況に応じて)
海外在住の外国人:
在留資格認定証明書(COE)申請(企業) ↓ 日本大使館でビザ取得(本人) ↓ 来日・在留カード交付 ↓ 就労開始
日本在住の外国人:
在留カード確認(在留資格・期限・就労可否) ↓ 必要に応じて在留資格変更申請 ↓ (不明な場合)就労資格証明書の取得推奨 ↓ 在留資格に合致していれば就労開始
🔷 採用後
外国人雇用状況届出(ハローワーク) ↓ 在留期間満了前に更新手続き ↓ 業務内容が変更した場合は資格変更申請 ↓ 在留資格と職務の整合性を継続的に確認
雇用後に必要な「外国人雇用状況届出」
雇用・離職時にハローワークへ届出が必要です(職安法28条)。
- 対象者:特別永住者・短期滞在者を除く外国人
- 期限:雇用・離職の翌月末日
- 罰則:最大30万円の罰金
在留資格申請に必要な基本書類
企業が準備する書類:雇用契約書、会社概要、業務内容説明書など
本人が準備する書類:履歴書、卒業証明書、職歴証明書など
⚠️ 注意:上記は一般的な必要書類の一例です。申請内容により、実務経験や業務内容を補強する追加資料の提出を求められる場合があります。審査は入管の裁量によって左右されることもあるため、事前に専門家と確認することをおすすめします。
審査期間の目安
在留資格認定証明書(COE)の審査は通常1〜3か月。繁忙期にはさらに時間を要する可能性があるため、早めの準備が効果的です。
よくある質問:外国人雇用と在留資格
- Q. 在留資格認定証明書(COE)とは?
→ 来日前の就労資格を証明する書類。企業や本人・代理人が申請でき、大使館でのビザ取得時に必要です。 - Q. 留学生ビザから就労ビザへ変更できますか?
→ 卒業予定者で条件を満たせば可能。卒業前の変更は審査が慎重になります。 - Q. 在留期間が切れた場合は?
→ 通常1〜5年の期間内に更新申請が必要。過ぎると不法就労助長罪の対象となる恐れがあります。 - Q. 業務内容が変わった場合の手続きは?
→ 軽微な変更なら更新で対応可能ですが、大幅な変更(例:営業 → 調理)は資格変更申請が必要です。 - Q. 就労資格証明書は義務ですか?
→ 法的義務ではありませんが、業務との整合性確認とリスク回避のために取得が推奨されます。
まとめ:在留資格管理は制度理解と体制づくりがカギ
外国人雇用には「採用前の確認」「資格取得・切替」「就労後の更新・変更」すべてのプロセスを見据えた管理体制が不可欠です。担当者・フロー・スケジュールを明確にし、法令遵守を徹底しましょう。
行政書士に依頼するメリット
正確な申請書類の準備、入管対応の代行、制度変更への柔軟な対応が可能です。
困ったときは専門家へ相談を
不安や疑問がある場合は、早めに専門家に相談し、安心して外国人雇用を続けられる体制を整えましょう。
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