外国人雇用のための就労ビザ一覧【在留資格の種類と選び方】
はじめに:本記事の対象と目的 💼
本記事は、外国人採用を検討している企業の人事・採用担当者向けです。在留資格の知識が不足すると、採用プロセスや在留管理においてトラブルや不許可リスクにつながることがあります。
以下のような段階で特に役立つ内容です:
- 求人設計時:職務内容に合った在留資格の把握
- 内定後の手続き時:在留資格と業務内容の整合性確認
- 就労開始後/在留期間更新時:制度変更・業務変更を踏まえた管理体制構築
就労可能な在留資格とは?
✅ 就労可能資格と確認方法
代表的な就労可能資格には以下が含まれます:技術・人文知識・国際業務、特定技能、高度専門職、経営・管理。これらを持つ外国人は在留カードに「就労制限なし」と表示される場合がありますが、実際に従事可能な業務は各資格の定めに従う必要があり、すべての仕事をできるわけではありません。企業は在留カードの表示だけで判断せず、必ず業務内容との整合性を確認してください。
⚠️ 就労制限付き資格と資格外活動許可
「留学」「家族滞在」などの在留資格では原則として就労はできませんが、「資格外活動許可」があれば、一定の範囲内(例:週28時間以内)でアルバイト等の就労が認められることがあります。企業は、対象者が就労制限付き資格である場合、資格外活動許可の有無を必ず確認し、未許可の場合は就労させないよう注意が必要です。
主な就労系在留資格の一覧(最新版)
資格名 | 主な対象業務 | 補足 |
---|---|---|
技術・人文知識・国際業務 | 専門業務(IT・企画・営業など) | 大卒相当+専門性が必要 |
技能 | 熟練技能職(調理、整備、職人など) | 実務経験+技能試験 |
技能実習 | 技能・技術の移転を目的とした研修制度 | 最大5年の在留が可能 |
特定技能1号 | 16分野の人手不足業種対応 | 試験合格または実習修了+採用 |
特定技能2号 | より熟練した業務を対象 | 家族帯同可/永住申請に有利 |
高度専門職(1号) | 研究・教育・経営・高度IT業務など | ポイント制(85点以上) |
高度専門職(2号) | 1号から3年以上在留し要件を満たす者 | 長期就労・副業・複数業務許可あり |
経営・管理 | 起業や経営管理職向け | 資本金・事業計画要件あり |
企業内転勤 | 本社からの国内転勤社員向け | 組織関係・職務内容が要件 |
教授/研究/教育 | 教育・研究に従事する者向け | 教育機関での所属・実績要件 |
医療 | 国家資格を保有する医療専門職 | 医師・看護師・薬剤師など |
法律・会計業務 | 法務・会計分野の専門職向け | 必要な資格・所属要件あり |
興行/宗教/報道/文化活動 | 特定活動者向けの職務 | 個別審査あり |
特定技能制度(1号・2号)の対応業界と注意点
特定技能1号は、16の産業分野(介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械製造、電気電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食業、林業、木材産業、鉄道、自動車運送)に対応しています。
業務範囲は主業務+関連業務に限られており、分野外の業務(例:倉庫作業、事務)は不可です。
特定技能2号は11分野で展開され、家族帯同や永住申請に有利な在留資格として位置づけられています。
就労系資格の留意点と採用設計のポイント
- 在留資格は「職務内容により限定される」ため、すべての求人に対応する資格があるとは限りません。
- 外国人を採用する際は、まず求人に対応する在留資格が存在するかを確認し、その上で資格取得要件と照らし合わせて採用計画を立てる必要があります。
制度背景:技能実習と特定技能の目的と特徴
- 技能実習制度:開発途上国への国際貢献を目的とした制度で、日本企業で技能を学び、母国に技術移転することを想定しています(最大5年)。
- 特定技能制度:深刻な人手不足分野への対応として設けられた制度で、即戦力となる外国人材の確保が目的です。
- 高度専門職制度:高い専門性を持つ人材の誘致と定着を目的としており、柔軟な在留が可能です。
🟦 高度専門職2号の優遇措置
- 家族帯同の緩和(配偶者の就労制限なし)
- 永住条件の緩和(最短1年で申請可能)
- 複数業務の併用(副業や起業も可能)
採用実務に活かす資格選定の手順
- 職務内容を要素単位に分解(例:接客/清掃/管理)
- 分解した職務がどの資格でカバー可能か確認
- 複数資格が必要な場合の組み合わせを検討
- 給与水準・本人経歴・企業規模などの条件をチェック
- 求人前、内定前、申請前の各段階で専門家と連携し、リスクを事前回避
✅ まとめ:採用設計の出発点は在留資格の理解と整合性確認
- 外国人を採用する際は、まず求人内容と一致する在留資格の有無を確認しましょう。
- そのうえで、資格要件と外国人本人の経歴が合致するかを確認し、制度に沿った採用計画を立てることが成功の第一歩です。
- 制度の背景や将来的な更新・永住可能性も視野に入れて採用設計を行い、行政書士等の専門家との連携体制を築くことが、リスクの少ない採用の鍵となります。
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