医療機器の販売・貸与を始める前に知っておきたいこと

医療機器の販売・貸与を始める方のために、「許可」「届出」「不要」の境界線をシンプルに整理しました。実務で迷いやすい「特定保守管理医療機器」の扱いも、最小限の要点で確認できます。


医療機器とは

医療機器の定義

「医療機器」とは、人体に作用し、疾病の診断・治療・予防などを目的とする器具や機械を指します。医療機器というと病院の大型装置を想像しがちですが、コンタクトレンズ(高度管)家庭用電気マッサージ器(管理)など、身近なものも含まれます。一方、トレーニングマシンや車いす等の多くの福祉用具・運動器具は薬機法上の医療機器には含まれません。

医療機器の分類

高度管理/管理/一般

人体への影響度(リスク)に応じて、医療機器は次の3区分に分類されます。

区分 概要
高度管理医療機器(クラスIII・IV) リスクが高い コンタクトレンズ、ペースメーカ 等
管理医療機器(クラスII) 一定のリスク 家庭用電気マッサージ器、家庭用電位治療器 等
一般医療機器(クラスI) 比較的リスクが低い 医療用ピンセット、メス 等

製品の区分は、包装や本体表示の「一般/管理/高度管理」「承認・認証・届出番号」を確認するのが近道です。最終的には製造販売業者(メーカー)や取引先へ照会してください。

特定保守管理医療機器

特定保守管理医療機器は、保守・点検・修理に専門性が必要な機器に対する別軸の指定です。リスク分類とは独立しており、管理医療機器や一般医療機器の一部でも指定されます。代表例:X線診断装置、脈波計、AED(自動体外式除細動器)。

補足:低周波治療器(いわゆるEMS/TENS 等)は多くが管理医療機器でありながら特定保守に指定される品目があります。他方、家庭用低周波治療器は特定保守「非該当」の代表例が多く、通常は管理医療機器(届出側)です。品目ごとにJMDN(一般的名称)と表示で確認しましょう。


販売業・貸与行とは

「販売業」は反復継続して医療機器を販売する業、「貸与業」は賃貸(リース・レンタル)を行う業です。主たる業種が別でも、医療機器を販売・貸与するなら対象となります。

ポイント:現物を置かない営業所であっても、販売契約や貸与契約を行う場所なら手続きの対象です。コールセンターやオンライン販売拠点などが含まれる場合があります。

以下、これらをまとめて「販売等」と呼びます。


医療機器の販売等に必要な行政手続き

販売等に許可・届出が必要な医療機器

販売・貸与の開始には、区分に応じて「許可」または「届出」が必要です(営業所ごと)。

区分 必要手続 管理者
高度管理医療機器 コンタクトレンズ 等 許可 必要
特定保守管理医療機器 AED、X線診断装置、脈波計 等 許可 必要
管理医療機器(特定保守以外) 家庭用電気マッサージ器 等 届出 必要
一般医療機器 医療用ピンセット 等 不要 不要
  • 要件は大きく2つ:①営業所の構造設備 ②営業所の管理者設置
  • 高度管理の許可があれば、管理医療機器の届出は不要(上位互換の取り扱い)。
  • 届出不要の管理医療機器(電子体温計、避妊用コンドーム 等)も一部存在します。

許可・届出が不要な場合

  • 一般医療機器のみを扱う場合
  • 高度管理の許可を持つ者が管理医療機器も扱う場合(別途届出不要)
  • 届出不要の管理医療機器のみを扱う場合(例:電子体温計、避妊用コンドーム)

例外は限定的です。判断に迷う場合は、所管窓口へ事前に確認しましょう。

許可申請・届出の方法

タイミングは「事前」です。営業開始前に許可・届出を完了させる必要があり、完了前の販売・貸与はできません。

手続の窓口は営業所所在地によって異なり、都道府県・保健所設置市・特別区が所管します。東京都は所管保健所が窓口です。

  • 許可:申請 → 審査 → 許可証交付(開始まで一定期間)
  • 届出:届出書提出 → 受理後、販売・貸与開始可

許可申請から実際に許可が下りるまでには、通常数週間から1か月程度の審査期間があります。自治体によっては書類確認や設備の事前立入検査が行われる場合もあるため、営業開始予定日から逆算して余裕をもって申請しましょう。

手続完了後も、帳簿の作成・保存(最終記載から6年)、陳列基準、広告規制などの遵守事項があります。


まとめ

  • 扱う製品の区分で許可/届出/不要が決まります。
  • 特定保守管理医療機器はリスク分類と独立の指定で、管理・一般にもまたがります。
  • 最終判断は製品ラベル(区分・番号)JMDN、および製造販売業者への確認で。

行政書士へのご相談を検討中の方へ: 医療機器販売業・貸与業の許可申請/届出は、営業所の要件確認や管理者要件、図面・帳簿・体制整備など専門的な準備が必要になります。
不備による差し戻しを避け、スムーズに開始したい方は、どうぞすずらん行政書士事務所へお気軽にご相談ください。